「介護用のベッドって、買ったらいくらするんでしょうね?」
老健で働いていると、ご家族からこんなふうに聞かれることがあります。
そして、こう続くのです。
「やっぱり、20万円とか30万円とか、しちゃいますよねぇ……」
そのたびに、ポテチは思います。
「あぁ、もったいない。借りられるのに……」と。
今日は、介護で家族を支えるときに、ぜひ知っておいてほしい「お金の話」です。
介護用のベッド、買おうとしてませんか?
結論から言ってしまいます。
もちろん、買うこともできます。
でも、ほとんどのご家庭で、買う必要はありません。
なぜかというと――介護用のベッドや車椅子は、「ずっと使うもの」ではないからです。
体の状態は、変わります。
もっと寝たきりに近くなれば、もっと高機能なベッドが必要になります。逆に、元気を取り戻して、手すりだけで歩けるようになる方もいます。
そのたびに「買い替え」ていたら、お財布がいくつあっても足りません。
そもそも「介護保険のレンタル」って、いくらなの?
気になるのは、お値段ですよね。
介護保険を使うと、レンタル代の1割(人によっては2〜3割)だけを払えばOKです。
具体的な金額の目安は、こんな感じです。
| 福祉用具 | 1か月のレンタル代(目安) | 1割負担なら |
|---|---|---|
| 介護用ベッド(電動) | 8,000円〜12,000円 | 月 800〜1,200円 |
| ベッド用マットレス | 3,000円〜5,000円 | 月 300〜500円 |
| 車椅子(標準型) | 3,000円〜5,000円 | 月 300〜500円 |
| 歩行器 | 2,000円〜4,000円 | 月 200〜400円 |
「えっ、月300円で車椅子借りられるの?」
はい、借りられるんです。
もちろん事業所によって多少のちがいはありますが、ざっくりこのくらいの感覚です。
これを知らずに、ホームセンターで車椅子を3万円で買ってしまった――というお話を、ポテチは何度も聞いてきました。
介護保険で借りられる福祉用具リスト
では、いったい何が借りられるのか。
意外と知られていない、レンタルできる福祉用具の一覧です。
介護保険でレンタルできる福祉用具(13品目)
- ① 車椅子(自走用・介助用・電動)
- ② 車椅子の付属品(クッション、テーブルなど)
- ③ 介護用ベッド(特殊寝台)
- ④ ベッドの付属品(サイドレール、介助バーなど)
- ⑤ 床ずれ防止用具(エアマットなど)
- ⑥ 体位変換器(体の向きを変えやすくする道具)
- ⑦ 手すり(工事のいらないタイプ)
- ⑧ スロープ(段差解消用、工事のいらないタイプ)
- ⑨ 歩行器
- ⑩ 歩行補助つえ(多脚杖、松葉杖など)
- ⑪ 認知症老人徘徊感知機器(センサー)
- ⑫ 移動用リフト(吊り具部分は除く)
- ⑬ 自動排泄処理装置(本体部分)
「えー、こんなにあるの?」と思いませんか。
ポテチも、最初に勉強したとき、ちょっと驚きました。
センサーやリフトまでレンタルできるんです。
「うちは無理」と諦めていた在宅介護も、道具を借りれば、ぐっとラクになることがあります。
リストの中にある「手すり」「スロープ」は、段差の多い家でも工事なしに使えます。段差が在宅生活をあきらめさせる話を読んでからは、ポテチはこの道具をもっと早く紹介したいと思うようになりました。
ただし「要介護度」によって、借りられるものが変わります
ここで、ひとつ大事な話を。
上のリストすべてが、誰でも借りられるわけではありません。
「要支援1・2」や「要介護1」の方は、原則として借りられるのは手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえの4つだけです。
ベッドや車椅子は、原則「要介護2以上」から。
これは、「軽い段階でベッドを入れてしまうと、かえって寝たきりに近づいてしまう」という考え方があるからなんですね。
とはいえ、例外もあります。
病気の進行が早かったり、骨折のあとだったり――状態によっては「軽い要介護度でも、ベッドが借りられる」ケースもあるんです。
このあたりの判断は、ケアマネジャーさんが詳しいので、ぜひ相談してみてください。
「買う」しかないものもある(特定福祉用具販売)
逆に、レンタルではなく「買うほう」が向いているものもあります。
口に入れるものや、肌に直接ふれるもの。
これは衛生面を考えて、買い取り(購入)になります。
レンタルではなく「購入」になるもの(特定福祉用具)
- 腰掛便座(ポータブルトイレ)
- 自動排泄処理装置の交換可能部分
- 入浴用いす(シャワーチェア)
- 浴槽用手すり
- 浴槽内いす
- 入浴用介助ベルト
- 簡易浴槽
- 移動用リフトの吊り具部分
こちらも、介護保険を使えば1年に10万円まで、1割負担で買えます。
つまり、定価10万円のシャワーチェアが、自己負担1万円で手に入る、というイメージです。
家族のお金を守る、ポテチからのお願い
介護は、長く続きます。
そして、思っているより、お金がかかります。
おむつ代、通院のタクシー代、デイサービスの食事代、ヘルパーさんの利用料……。
「ちりも積もれば」で、毎月けっこうな金額になっていきます。
だからこそ、「使える制度は、ちゃんと使う」。
これが、家族のお金を守るコツです。
ポテチがご家族に伝えたいこと
- ベッドや車椅子は、まず「借りる」を検討する
- ホームセンターやネットで買う前に、ケアマネさんに一言相談する
- 体の状態が変わったら、福祉用具も「見直す」
- 「うちは大丈夫」と頑張りすぎず、道具に頼っていい
ご家族の介護を頑張っている方は、本当に偉いです。
でも、頑張りすぎて、ご家族のほうが倒れてしまったら、元も子もありません。
道具を借りて、ラクをする。
これは、ズルでも甘えでもありません。「続けるための工夫」です。
まず、誰に相談したらいい?
「うちのおじいちゃん、ベッド借りられるかな?」
そう思ったら、まずはケアマネジャーさんに相談してください。
まだケアマネさんがいない、という場合は、お住まいの市区町村にある地域包括支援センターへ。
役所のホームページや、広報誌に連絡先が載っています。
電話一本で、いろいろ教えてくれます。
「こんなこと聞いていいのかな……」なんて遠慮はいりません。それが、彼らのお仕事です。
「ケアマネさんって、どれくらい頼りになるの?」と気になった方は、こちらの記事もどうぞ。担当ケアマネさん次第で、在宅介護の選択肢がずいぶん変わります。
家族のお金と、介護する人の体力。
どちらも、大事な「資源」です。
知っているか知らないかで、ずいぶん変わってきます。
今日のリストが、誰かの「あ、借りればよかったんだ」につながれば、ポテチはうれしいです。
福祉用具のレンタル以外にも、介護保険には「知らないと損する」サービスがたくさんあります。介護保険で使えるサービスの裏技5選もあわせてどうぞ。

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