「最近、見えにくくなってきた」現場でよく聞く言葉
ポテチの現場で、よく聞く言葉のひとつが、

最近ね、見えにくくなってきたの
です。
リハビリ中の動きが、なんだかぎこちない。
歩くスピードが落ちる。
食事中、お皿の上のものに気づきにくい。
そう感じて声をかけてみると、視力の低下が背景にあった、というのは本当によくあります。
ひと口に「見えない」と言っても、原因はさまざま。
代表的な5つを、現場目線でご紹介します。
① 白内障――目のレンズが濁ってきて
高齢者の「見えにくい」、いちばん多い原因。
目の中にある「水晶体」というレンズが、年齢とともに白く濁ってきます。
すると、
- 全体がかすんで見える
- まぶしさを強く感じる
- 暗いところで見えにくい
- 色が薄く感じる
といった症状が出てきます。
座る場所で、「あっちはカーテン閉めても眩しいから、この柱の横がいい」と指定されることも。
室内でも、サングラスをかけている人もいます。
ポテチがレクで部屋の電気を強くしようとすると、「まぶしくて見えない」と言われることが多いのは、これが原因のことも。
幸い、白内障は手術で改善することが多い病気です。
人工レンズに入れ替えるだけで、世界が一気にクリアになる方も。
「年だから」と諦めず、眼科で相談してほしいタイプです。
② 緑内障――静かに視野が欠けていく
これが、いちばん怖いタイプ。
緑内障は、視神経が少しずつ傷ついて、視野が欠けていく病気です。
痛みもなく、ご本人も気づきにくい。
気づいたときには、視野の一部が真っ暗、ということも。
日本人の中途失明原因の1位は、この緑内障です。
40歳以上の20人に1人とも言われています。
進行を止めるには、早期発見・点眼薬での管理が必須。
ところが、自覚症状が出にくいので、定期検診を受けていないと見逃されがち。
「片目を隠したら、もう片方の視野が一部欠けてる」――それで初めて気づく方もいます。
緑内障は目薬をつけないと、あっという間に悪化して、見えなくなります。
③ 加齢黄斑変性――真ん中だけ見えない
聞き慣れない病名かもしれませんが、最近増えています。
網膜の中心部分(黄斑)が変性して、真ん中だけがゆがんで見える/見えないという、独特な見え方になります。
- 人の顔の真ん中が、ぼやけて誰だか分からない
- 文字を読もうとすると、ちょうどそこだけ歪む
- 直線がうねって見える
周辺は見えているので、本人も家族も「目が悪い」と気づきにくい。
食事や読書、テレビに支障が出てから、ようやく病院に行く方が多いです。
注射や光凝固といった治療がありますが、進行を止めることが中心。
こちらも早めの受診が運命を分けるタイプ。
④ 糖尿病網膜症――血糖コントロールが目に響く
前回のおばあちゃま記事で書いた糖尿病、実は目にも大きく影響するんです。
血糖値が高い状態が続くと、網膜の細い血管が傷んでいきます。
進行すると、出血したり、新しい異常な血管ができたり――最終的に失明することも。
糖尿病の合併症としての失明は、日本では緑内障に次いで2位。
「糖尿病でも、目は別」と思っていると、足元をすくわれます。
HbA1cが高い方は、定期的な眼科検診が本当に大事。
ラーメンばかり食べているおばあちゃま、今度眼科の話もしようと思っています。
⑤ その他(脳卒中後遺症・網膜剥離など)
ここまでの4つ以外にも、現場で出会う原因はあります。
- 脳梗塞・脳出血の後遺症 = 視野の半分が見えない(半盲)など
- 網膜剥離 = 急に黒い影が見える、視野が欠ける
- 加齢による老視(老眼) = 病気じゃないけど、見えにくさの一因
- ドライアイ = かすみの原因に
- 薬の副作用 = 一部の薬で視覚に影響が出ることも
「目が見えにくい」のひと言の裏に、いろんな原因が隠れていることだけは、覚えておきたいところ。
見えにくさは、転倒・認知症のリスクにもなる
ここがリハビリ屋の本気の話。
視力が落ちると、生活全体に大きく影響します。
- 段差や障害物に気づきにくくなる → 転倒リスク
- 表情が読み取りにくくなる → 人との会話が減る → 認知機能低下
- 顔がわからない → 引きこもりがちに → うつや孤立
- 文字が読めない → 情報が入らない → 判断ミス
「ただ見えにくいだけ」では済まないんです。
見えにくさは、寝たきり一歩手前のリスクとして、現場ではかなり警戒しています。
ご家族にできる、いちばん大事なこと
ご家族に伝えたいことが、ひとつあります。
「最近、見えにくいってない?」を、定期的に聞いてあげてください。
高齢の親御さんは、見えにくくなっても、ご家族に申告しない方が多いです。
- 「年だから仕方ない」と諦めている
- 「目が悪い」と認めたくない
- 「子どもに心配かけたくない」
そういう気持ちで、ひとりで抱え込みがち。

ねえ、新聞、ちゃんと読めてる?
テレビの字幕、見えてる?
食卓のお皿、見やすい?
そんなふうにさりげなく聞いてあげると、本音が出てくることがあります。
「年のせい」で片付けず、一度眼科にかかってみる――それが、見えにくさと付き合う第一歩。
ポテチも、今日も現場で、利用者さんの「見えにくさ」を、そっと拾うようにしています。

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