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「給与明細を紙でください」――介護現場のIT化が、思ったより進まない理由

介護

介護現場の電子化、なかなか進まないんです

世の中は、どんどん電子化が進んでいます。

役所の手続き、銀行のやりとり、子どもの学校のおしらせまで、スマホひとつで済むことが増えました。

でも――介護の現場は、ちょっと事情が違います。

ポテチが働いている現場でも、電子化したいけど、なかなか進まない。
今日は、その「進まなさ」のリアルを、ちょっとお話してみようと思います。

給与明細が電子化されても「紙で下さい」

うちの職場で、給与明細を電子化したことがありました。

毎月ペーパーレスで、専用サイトでログインして見る形式。
発行する側もラクだし、紙をもらいに行く手間もない。
本人の家計管理にも便利、なはずなのですが――

紙でください

そう申し出る人が、一定数います。

スマホは持っているけれど、ログインの仕方が分からない。
「IDとパスワード」で、もうつまずく。
パソコンを開いて見るのは、なおさらハードルが高い。

「紙ならすぐ見られるから、紙で」

その気持ち、責められないんです。

年末調整も「紙で書かせてください」

年末調整も、最近は電子フォームで入力する会社が増えました。

うちもそうなったのですが、ここでも――

紙で書かせてください

と申し出る人が、たくさん。

入力欄をタップすると、キーボードが出てくる。
変換が思うようにいかない。
チェックボックスを押す手の動きが、画面に反映されない。

そういう「画面の中で物事を進める」感覚が、しんどい人がいるんです。

紙ならスラスラ書けるのに、電子だと20分かかってしまう。
それなら最初から紙の方がいい――そう感じる気持ち、わかります。

だからカルテの電子化も、なかなか進まない

そういう現場で、カルテの電子化が進むかというと――もう、お察しの通りです。

電子カルテは、入力スピードと正確性で言えば、紙よりずっと優秀。
記録の検索も、共有も、ラクになる。
でも――

入力する人が、使いこなせない。

「えっと、どこに書くんだっけ」
「保存ボタンって、どこ?」
「あれ、消えちゃった」

そういう声が、毎日のように上がります。

書くのが好きな職員さんほど、紙のカルテに慣れていて、電子に切り替わるのを嫌がる。
そして「無理して使ってもらう」と、今度はミスが増える。

進めたい気持ちはあるのに、ブレーキを踏まざるを得ない場面が、本当に多い。

進めたくても、ツールも環境も足りない

仮に、職員みんなが使えたとしても、もう一つ問題があります。

それは――ツールが足りないということ。

各部署にパソコンが3台程度。
+iPadもしくはiPhoneが数台。
それを職員何十人で取り合う。
休憩室にも、ナースステーションにも、台数は限られている。

「順番待ちしている間に、別の業務が入る」
「結局、紙にメモしておいて、あとで打ち直す」

それなら最初から紙でいいや、ってなりますよね。

タブレットを各自に支給している施設もありますが、それはまだ少数派。
ハードもソフトも、現場が望むスピードにはまだ追いついていません。

「使えない人がいる」前提で動く現場

介護の現場は、利用者さんへのケアが最優先。
そのために、職員の年齢層も幅広いし、ITリテラシーもさまざま。

50代・60代の大ベテランほど、「現場のことは何でも分かる」し、「家族とのやりとりも上手」。
でも、パソコンは触ったことがない、という人も普通にいます。

そういう人を「IT使えないからダメ」と切ってしまうと、現場が回らない。
むしろ、その人たちのケアの力が、施設を支えています

だから現場は、「使えない人がいる」前提で動かざるを得ない。
電子化はゆっくり、ゆっくり進める。
紙との並行運用が、しばらく続く。

それは、現場のリアルでもあるし、現場の優しさでもあると、ポテチは思います。

それでも、少しずつ進めていきたい

電子化が進まないことを、嘆くつもりはありません。

でも、紙のままでは続かないことも、事実です。
職員の数は減っていく。
記録の量は増えていく。
家族への説明責任も、年々重くなっていく。

そのとき、紙だけで回せるかというと、たぶん、回せない。

だから――

ITが得意な若手が、ベテランに教える。
ベテランが、現場のコツを若手に教える。

そういう「お互い様」の現場でいられたら、電子化も少しずつ前に進める。

ポテチはそう信じて、今日も紙とパソコンを行ったり来たりしています。

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