右から話しかけても反応がないおばあちゃん
入所されているおばあちゃん。
穏やかで、お話も好きな方です。
でも、ある日気づきました。
右側から声をかけても、反応がない。
左側からだと、ちゃんと返事が返ってくる。
「あれ?」と思って、何度か試してみました。
やっぱり右耳の聞こえが、かなり落ちているようなのです。
娘さんの提案を断った理由
ご本人に聞いてみると、以前に娘さんから
「補聴器、作ったほうがいいよ」と言われたことがあったそう。
でも、断ったのだと言います。
「今さら、いいわよ」
「値段も高いし」
「そんなに困ってないから」
よく聞く理由です。
ポテチも、現場で何度も聞いてきました。
「作ったほうがいいんですかね?」
そのおばあちゃんが、ふと聞いてきました。

作ったほうがいいんですかね?
迷っているのが伝わってきました。
自分でも、聞こえにくいことを感じているのだと思います。
ポテチは、少し考えてからこうお話ししました。
無視する気はなくても、相手はそう感じる

おばあちゃんは無視した気がなくても、
相手からすると無視されたと感じてしまうことがあるかもしれないですよ
そう伝えると、はっとした顔をされました。
聞こえていないから、返事をしない。
それはご本人にとっては当然のこと。
でも、声をかけた相手はそうは思わないのです。
「あれ?無視された?」
「機嫌悪いのかな?」
「話しかけないほうがいいかな…」
そうやって、だんだん声をかけてもらえなくなる。
聞こえないことが招くもの
声をかけられなくなると、どうなるか。
会話が減る。
人との関わりが減る。
孤独感が増していく。
そして――
耳から入る刺激が減ることで、認知機能の低下が進みやすくなるとも言われています。
聞こえないことは、ただ「聞こえない」だけじゃないのです。
その先にある、人との関係そのものを細らせていってしまう。
ポテチとしては、ここが一番伝えたかったところでした。
それでも、決めるのはご本人
補聴器は高価ですし、慣れるまで煩わしさもあります。
だから、無理に勧めるものではないとも思っています。
それでも――
「聞こえない」ことで失ってしまうものがあるということは、知っておいてほしい。
おばあちゃんは、

娘にもう一度相談してみようかね
と言っていました。
断る理由も、作る理由も、どちらもその人のもの。
ただ、選ぶための材料は、ちゃんとお渡ししたいなと思ったのです。
聞こえることは、人とつながること。
そういうことなんだろうな、と思いました。



コメント