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父の介護を通して思うこと。あのとき「老健」という選択肢を知っていれば

介護

介護をしていると、あとから振り返って
「あの時、別の選択肢があったのかもしれない」
と思うことがあります。

うちの父の介護も、まさにそんな道のりでした。

認知症が少しずつ進み、最初のころは母と二人でなんとか暮らしていました。
忘れ物が増えたり、同じことを何度も聞いたり。
でも、まだ日常生活はなんとか回っていました。

ところが、ある時期から急に状況が変わりました。

夜中に外へ出てしまったり、家の中で混乱したり。
母だけでは対応が難しくなり、ついに自宅での生活が限界になってしまったのです。

そして、気がつけば父の介護は、こんな道をたどっていました。

父の介護の道のり

  • 自宅での生活が難しくなる
  • A病院の精神科へ入院
  • 症状が落ち着き、有料老人ホームへ入所
  • 集団生活になじめず、不安や混乱が強くなる
  • 再びB病院精神科へ入院
  • その後C病院精神科へ転院
  • そしてようやく特別養護老人ホーム(特養)へ入所

こうして並べてみると、かなり遠回りをしたように感じます。

当時は、家族として必死でした。
その時その時で「これが一番いいはず」と思って選んでいました。

でも今になって思うのです。

もし、あのとき
「老健(介護老人保健施設)」という選択肢を知っていたら、
父の道のりは少し違っていたかもしれない、と。

老健と特養って、どう違うの?

介護施設を探し始めると、必ず出てくるのがこの二つです。

  • 老健(介護老人保健施設)
  • 特養(特別養護老人ホーム)

でも、家族の立場からすると、
「どっちも施設でしょ?」
と思ってしまう人も多いと思います。

実は、この二つは目的がまったく違います。

老健は「在宅復帰を目指す施設」
特養は「長く暮らす施設」

簡単に言えば、この違いがいちばん大きいです。

老健は「在宅復帰を目指す中間施設」

老健の目的は、病院と自宅のあいだをつなぐことです。

病院を退院したあと、いきなり自宅で生活するのは不安。
かといって、すぐに長期施設を決めるのも難しい。
そんな時に利用するのが老健です。

老健では、医師が常勤し、看護師がいて、理学療法士などのリハビリ職が配置されている施設が多く、リハビリを受けながら生活することができます。

利用期間は原則3〜6か月。
状況によっては延長することもあります。

つまり老健は、生活を立て直すための場所と言えるかもしれません。

特養は「終の住処」

一方で特養は、基本的に長期入所を前提とした施設です。

いわば、終の住処と呼ばれることもあります。

入所条件は原則として要介護3以上。
人気の施設では、数年待ちになることも珍しくありません。

医療体制はありますが、病院ほど医療が手厚いわけではありません。
また、老健のように積極的なリハビリがある施設は少ないです。

その代わり、生活の場として落ち着いて暮らすことができる場所です。

老健という「立ち止まる場所」

当時の私たち家族は、
「退院したらどうする?」
という問題に直面しました。

家に戻るのは難しい。
でも長く入る施設も決めきれない。
そんな状況でした。

その時、もし老健という選択肢を知っていたら。

いきなり有料老人ホームではなく、まず老健で少し落ち着いて、

  • 父の状態を見る
  • 母の負担を減らす
  • これからの生活を考える

そんな時間が持てたのではないかと思うのです。

老健は、病院ほど医療漬けではなく、でも自宅ほど負担は大きくない、そんなちょうど真ん中の場所です。

介護をしていると、どうしても「早く決めなきゃ」と焦ってしまいます。
でも本当は、少し立ち止まって考える時間も大切なのかもしれません。

迷ったときは地域包括支援センターへ

介護の施設を探すとき、情報が多すぎて混乱してしまうことがあります。

そんな時に頼りになるのが、地域包括支援センター、そして担当のケアマネジャーです。

その人の状態や家族の状況を見ながら、

  • 老健がいいのか
  • 特養を待つべきなのか
  • 他のサービスがあるのか

整理してくれます。

一人で悩む必要はありません。

あのときの自分に伝えたいこと

父の介護を通して強く感じたのは、
知っているかどうかで、介護の道は大きく変わる
ということでした。

老健と特養。
どちらも大切な施設です。

でも、その役割を知らないまま選んでしまうと、本人も家族も苦しくなってしまうことがあります。

もし今、施設選びで迷っている方がいたら。

あのときの私のように悩んでいるご家族に、こう伝えたいです。

「老健という選択肢もありますよ」

それだけでも、介護の道のりは少し変わるかもしれません。

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