老健や特養といった介護保険施設に入所すると、
介護サービス費とは別に「居住費(部屋代)」と「食費」がかかります。
これが想像以上に家計を圧迫するんですよね。
でも、実はこれを軽減できる仕組みがあるのをご存じでしょうか。
それが「負担限度額認定(補足給付)」という制度です。
補足給付とは?
低所得の方を対象に、介護施設の「食費・居住費」を減額してくれる制度です。
正式には「介護保険負担限度額認定制度」と呼ばれます。
対象になるのは、住民税が非課税の世帯など。
さらに本人と配偶者の預貯金の額によって、負担区分が第1〜第4段階に分かれます。
例えば、一般的には1日あたり
・食費:1,600円 → 300円程度まで軽減
・居住費(多床室):2,000円 → 370円程度まで軽減
といった形で、大きく費用が下がります。
実際の現場での活用例
私が勤める老健でも、この制度を使って入所いただくケースがあります。
特に印象に残っているのは認知症の不穏が強い方の場合です。
多床室では夜間に他の利用者さんに声をかけてしまったり、トラブルになることも…。
そういう時には「補足給付」を利用して個室での入所をお願いすることがあります。
結果として、ご本人も落ち着いて過ごせるようになり、周囲の方も安心して生活できるようになります。
お金の問題で個室は無理、と諦めてしまうご家族も多いのですが、
制度を知っているかどうかで選択肢が広がるんです。
申請の流れ
補足給付を利用するには、役所で「介護保険負担限度額認定証」を申請・交付してもらいます。
必要なものは、
- 申請書
- 本人と配偶者の収入・預貯金額がわかる書類(通帳の写しなど)
- 介護保険被保険者証
です。
交付された認定証を施設に提出すれば、減額が適用されます。
まとめ:制度を知って、本人にも周囲にも優しい選択を
介護施設の費用は「高いから無理」と思われがちですが、
補足給付を使えば、実はぐっと軽減できる場合があります。
そして、これは単にお金を助けてくれるだけではなく、
「認知症の不穏が強い方に個室を利用してもらう」など、
本人・家族・周囲にとって安心できる生活につながる制度でもあります。
ぜひ、役所やケアマネジャーに相談してみてくださいね。
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