大腸がんターミナル期の利用者さんと、デイで過ごすいつもの時間。
こんにちは、ポテチです。
いつも通ってくださっているおじいちゃん。いずれは緩和ケア病棟に入る予定ですが、いまは「通えるうちは通いたい」と、デイに来てくださっています。
このところ出血が増えて、ヘモグロビンは8。先日、鉄剤の点滴を受けたあとに「なんだか余計に出た気がする」と愚痴をこぼされました。初めてのことばかりで、不安が言葉になって漏れてくる感じ。ご家族は状況を理解してくださっていますが、気持ちが追いつくのはまた別の話ですよね。
鉄剤と出血のこと(やさしい説明)
- 鉄剤は「血をサラサラにする薬」ではなく、失われた鉄を補って血を作りやすくする薬。
- 鉄剤そのものが出血を増やすことは基本的にありません。
- ただし、大腸の腫瘍は表面がもろく、出血しやすい状態。出血の原因は“がんそのもの”。
- だから、鉄を補っても出血が続けば、またヘモグロビンは下がってしまうことがあります。
デイで大事にしていること ― 日常を維持する
- ペース配分:その日の調子に合わせて、立ち上がりや歩行は「少し手前でやめる」を合言葉に。
- 休憩の合図:息切れやふらつきが出る前に、短い休憩をはさむ。
- 排便の負担を減らす:水分・食物繊維のバランスを整え、いきみ過ぎを避ける(薬は主治医の指示に沿って)。
- 声かけ:「鉄は血を増やすためのお薬ですよ。心配なことは一緒に確認しましょう」と、誤解をほどく言葉を丁寧に。
今日の観察メモ(スタッフ視点)
- 便の様子:鮮血・暗赤色・黒色(タール状)などを記録。量や回数、いつもとの違いも。
- 貧血症状:顔色、めまい、息切れ、動作時の疲労、ふらつき。
- バイタル:血圧・脈拍・SpO₂。急な変化は医療側へ共有。
「いつも通り」を守るための観察。変化に気づいたら、主治医・看護師・ご家族とすぐ共有します。
気持ちの置き場所
ご家族は分かっている。でも、血を目にすると心がざわつく。本人も「なんだか変だなぁ」と不安をこぼす。
そんな時ほど、私たちはネガティブに引っ張られすぎないように、日常をそっと支える。お茶を飲んで、少し体を動かして、笑える話題を一つ。ターミナル期でも、今日の心地よさはちゃんと作れる――そう信じています。
おわりに
鉄剤は出血を増やす薬ではないこと、出血の原因は“がんそのもの”であること。それを胸のポケットにしまいながら、今日もいつもの時間を一緒に。必要があれば医療側と連携して、安心の幅を広げていきます。
※この記事は現場の日記です。医療的判断は必ず主治医・看護師にご相談ください。
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