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頑張る高齢者ほど、老健では“困った人”になる切なさ

介護の現場から

老健には高齢者が入所してきます。自分のことが自分でできなくなった時、 そこで二つに分かれる気がしています。

「やらない人」と「やってみようとする人」

ひとつは、もう諦めてしまって「やらない」人。
もうひとつは、いつまでも諦めずに「やってみよう」とチャレンジを続ける人。

前者は危険なことをしないので、施設としても扱いやすいことが多い。
でも後者は、施設にとっては“ちょっと困った人”になりがちです。

理由はシンプルで、転倒が増えるから。

「ちょっと頑張ればできるかも…」
その瞬間に、チャレンジしてしまうんですよね。

でもこの気持ち、本当はとても大事なこと。
向上心がなければ、リハビリは成り立たない

ただ一方で、自分ができないことを認められない。あるいは気づけないまま、 オーバースペックなことをやってしまう。そして転ぶ。

転んだ結果、また仕組みや環境で「できること」が狭まっていく。
それが本当に、もったいないなと思うのです。

家族が「もう無理!」となってしまった方の話

以前入所された方で、自宅で転びすぎて、家族から「もう無理!」と引導を渡されてしまった方がいました。

本人は迷惑をかけたくなくて、自宅で歩きまくっていたそうです。
でも家族が仕事から帰ると、床に倒れている。それが数回あったみたいで。

疲れて帰ってきて、倒れているのを見つける。肝も冷えるし、起こすのもしんどい。
家族の気持ちも、よくわかります。

ただ本人はものすごく前向きで、こう言うんです。

あと二年でいいから頑張って生きたいの。
家の前の公園に、杖で散歩に行きたいの。

……切ないよね。

本人の気持ちと、家族の現実

でもね、もう特養の入所が決まってしまったんです。

今は老健で杖歩行の練習をしています。
ただ、老健に来る前に要介護5が出ていて、家族としては「特養に入ってほしい」ってなるのも自然だと思う。

本人は家に帰る気満々なのに。
そのズレが、また切ない。

自宅に長くいたいなら「家から出る」

自宅にいた時は、デイサービスに行ったり行かなかったりで、家族の手を煩わせていたようです。

「せめて、家にいた時にデイサービスにしっかり通っていたら、家族の対応も違ったのかなぁ」
…と思ったり、思わなかったり。

私は思うのです。
自宅に長くいたいなら、高齢者は“家から出て”生活リズムを保つべきだと。

デイケアはコストも高いし、毎月の会議とか、ちょっと面倒。
でも、自宅で長く暮らしたいなら、絶対に使ったほうがいい。

上の方も、杖の使い方がめちゃくちゃだったんですよ。
でも、教えたらできる。ちゃんとできる。

これが家にいた時から身についていたら、転ばなかったかもしれない。
もしかしたら、家で暮らせていたのかもしれない。

だから言いたい。
もっとデイケアも使ってね。
“諦めない気持ち”を守るためにこそ。


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