先日、親友から連絡がありました。
「お父さんが転倒をきっかけに寝たきりになって、肺炎まで併発してしまった」と。
1ヶ月前まで元気だったのに、あれよあれよと…
親友としては、つい1ヶ月前まで元気だったお父さまが、気づけば寝たきり。
しかも肺炎が悪化する可能性があるということで、今は食事も禁止。
食べられない → 体力が落ちる → 起き上がれない → 離床もしない。
そうやって、動ける理由がどんどん減っていく。
もともと難聴もあって、声をかけても反応が薄い。
「意思を伝えてほしい」と筆談を試すも、手が震えて字が書けない。
あいうえお表で指し示してもらう作戦も、うまくいかない。
どうしたらいいのか分からない――それが、親友の正直な気持ちでした。
まず私が伝えたこと:「声は届いてる。触れていい。」
ポテチ(私)からはこう伝えました。
「うまく話せないにしても、絶対に声は聞こえてるし、分かってる。
とにかく話しかけて、手でも足でも、触ってあげて。」
返事がないと、こちらは不安になります。
でも、返事がない=何も感じていない、ではありません。
“届いてる前提”で関わるだけで、空気が少し変わることがあります。
喋れない人とやり取りする「道具」って?(家族向け)
ここからは、家族が病院や施設で試しやすい順に書きます。
ポイントは「難しいことをしない」「選択肢を減らす」「反応の出る場所を探す」です。
① Yes / No を“体で”作る(最優先)
- うなずき(難しければ目を閉じる/開くでもOK)
- 手を握り返す(Yes=握る、No=握らない など)
- 指を1本だけ動かす(できる指が1本でも勝ち)
- まばたき(Yes=1回、No=2回 など)
まずは「はい」「いいえ」だけでも成立すると、世界が広がります。
質問のコツは、一文を短く、二択にしない(最初はYes/No)、待つ。
② 体調を伝える道具:痛み・苦しさの“指さし表”
- 痛みスケール(0〜10、または顔マークの表)
- 「苦しい」「痛い」「寒い」「暑い」「眠い」などの大きい文字カード
- 体の図(どこがつらいか指させる)
「言えない」よりも先に、「つらいのに伝えられない」がしんどい。
“症状だけでも言える”カードは家族の安心にもつながります。
③ 絵カード・写真カード(家族写真が強い)
- 水、トイレ、体位変換、テレビ、眼鏡、補聴器…
- 家族の顔写真
- 好きなもの(コーヒー、音楽、野球…など)
文字より、写真のほうが反応が出る方もいます。
とくに家族写真は、“今ここ”に引き戻す力が強いことがあります。
④ 指さしが難しいなら「視線」で選ぶ
指さしが無理でも、目は動くことがある。
そんなときは道具を変えるより、提示の仕方を変えます。
- カードを2枚だけ見せる(AとB)
- 目線が止まった方を「これ?」と確認する
- 反応が薄ければ、もう一度ゆっくり
⑤ 難聴があるなら「聞こえの工夫」がセット
- 顔が見える位置で話す(口元が見えるだけで違う)
- 早口にしない、短く区切る
- 周囲の雑音を減らす(テレビを消す、カーテンを閉める)
- 可能なら補聴器の電池・装着確認(スタッフさんに相談)
“反応がない”が、実は“聞こえてない”だけだった…は少なくありません。
⑥ 最後に:病院スタッフに頼っていい(むしろ頼って)
家族だけで抱えなくて大丈夫です。
病院には、コミュニケーションの支援が得意な職種がいます。
- 言語聴覚士(ST):意思疎通の方法、嚥下、声の出し方など
- 作業療法士(OT):スイッチ、指さし補助、自助具など
- 看護師さん:日々の反応(いつ反応が出やすいか)を一緒に探せる
「手が震えて書けない」「指さしも難しい」「目は動く気がする」など、
今できないことではなく、できそうな反応を伝えると支援が早いです。
まとめ:できることは“通じ合う入口”を作ること
うまく話せない。字も書けない。指さしもできない。
それでも、入口はあります。
まずはYes/No。
次につらさ(痛い・苦しい)。
その次に写真や絵。
そして、聞こえの工夫と、スタッフさんへの相談。
親友には、これだけは繰り返し言いました。

反応が薄くても、声は届いてるよ。たくさん触ってあげて。


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