先日、通所の利用者さんのお宅へ訪問に行ってきました。
「時々はご自宅での様子も見ておきなさいよ」ということで。
……というかですね、
家の構造や生活の様子を知らないままでは、
正直、指導に活かせることにも限界があるんですよね。
玄関の段差、廊下の幅、トイレまでの動線。
通所では問題なくできている動きが、
家ではぐっと難しくなる理由が、
現場に行くとすっと見えてくることがあります。
そんな中で、
「これ、いつも使ってるのよ」と、
利用者さんが実際に使っているお箸を見せてくれました。
この方、嚥下に少し問題があって、
通所での食事中は、どうしてもむせてしまうことが多い。
そのため、デイでは一人席での食事になることがほとんどです。
ところが、です。
「家ではパンも食べてるのよ」
さらっと言われて、ちょっと驚きました。
パンって水分が少なくて、
嚥下が不安定な方には、
どちらかというと「あまりおすすめしない食材」
通所でむせているのに、
家ではパンを食べている。
……ん? と思いますよね。
でも、その場で
「それは危ないですよ」と言うのは、
たぶん簡単で、たぶん違う。
家での食事は、
慣れた姿勢、慣れた食器、慣れたスピード。
そして何より、安心感があります。
通所での「正解」が、
そのまま家での「正解」とは限らない。
そんなことを考えていたら、
奥さんが、ぽつりと言いました。
「味噌汁の具で、むせることがあるんです」
大きな困りごととしてではなく、
本当に、日常の中の一コマみたいな言い方で。
味噌汁。
毎日のように食卓に並ぶものです。
パンよりずっと身体にやさしそうで、
むしろ安全そうなイメージさえあります。
でも、嚥下が不安定な方にとっては、
味噌汁の具って、意外と手強い。
汁と具がばらばらで、
口の中でまとまりにくくて、
飲み込むタイミングがずれやすい。
「パンは食べられるけど、味噌汁の具でむせる」
嚥下って、
食材のイメージや常識で測れるものじゃないんだなぁと、
改めて思いました。
奥さんは深刻に悩んでいる様子でもなく、
もう仕方ないですよねって、
ただ、事実として教えてくれただけ。
その「ぽつり」が、
通所で見ていた姿と、
家での生活を、
静かにつないでくれた気がしました。
安全も大事。
でも、生活はもっと複雑で、もっと個別。
だからやっぱり、
たまにでも「家に行く」ことは大事なんですよね。



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