ポテチの実母は、現在一人暮らしをしています。
もともとは一人で住むには広すぎる一軒家に住んでいたのですが、その家を売却し、兄の住むマンションの近くへ引っ越しました。
兄は賃貸で暮らしているため、
「将来は兄夫婦がこのマンションに住んでもいいね」
という話になり、兄夫婦も物件選びに付き合っていたそうです。
気に入ったマンションが見つかり、引っ越しも無事に終わりました。
そして数日後、ポテチは初めてそのマンションを訪れたのです。
駅から徒歩5分ほど。
幹線道路も近く、病院もスーパーもある。
坂もなく、とても住みやすそうな場所です。
オートロックもあるし、エレベーターもあります。
「いいところじゃない」
そう思いながらエレベーターを降りた、その時。
ポテチは絶句しました。
……なんで、ここに階段があるの?
玄関までの間に、5段ほどの階段。
しかも玄関前には屋根もありません。
「この開放的な感じが気に入ったのよ」
母は笑って言いました。
ポテチは思わず言いました。
「え〜!なんで高齢になってからの引っ越しで、階段のあるところ選ぶのよ!」
怒ったというより、呆れたという感じでした。
しかし母は、
「こんな段差、どうってことないわよ」
と笑い飛ばしていました。
数年後、母が言ったこと
それから数年。
母は膝を悪くしました。
そして、ある日こう言ったのです。
「あんたの言ってた意味が分かったわよ」
「これ(階段)が、もうしんどくて」
ほらね。
そうなのです。
若い時は問題ない段差でも、年を取ると大きな壁になります。
高齢になると、階段は自宅を遠ざけることがある
今いる入所者さんの中にも、自宅復帰に階段昇降が必須という方が数人いらっしゃいます。
持ち家で両手すりが付けられる場合は、まだ対応しやすいこともあります。
しかし、賃貸の場合はそう簡単ではありません。
階段の昇り降りのために、ヘルパーさんの手を借りる必要があることもあります。
ですが最近は、ヘルパーさんの数も本当に足りないのが実情です。
そうなるとどうなるか。
家には帰れるけれど、外に出るためのサービスが組めない。
つまり、家に帰ったら最後、外に出られなくなってしまうこともあるのです。
家選びで本当に大切なのは「今」ではなく「これから」
家選びの時、人はどうしても今の暮らしやすさを基準に考えます。
駅が近い。
スーパーがある。
病院が近い。
坂がない。
オートロックがある。
エレベーターがある。
もちろん、それも大切です。
でも、高齢になってからの住まいで本当に大事なのは、10年後、20年後も暮らし続けられるかという視点なのだと思います。
たった5段の階段でも、将来、家を遠ざける壁になることがあります。
若い時には気にならないことが、年を重ねると大きな問題になる。
だからこそ、高齢者の引っ越しや住み替えでは、見た目の良さや今の便利さだけでなく、将来の身体の変化まで見越して選ぶことが大切なのだと、母の姿を見て改めて感じています。
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