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新年を迎えた老健は、なんだか落ち着かない。

介護の現場から

決してお屠蘇気分が抜けきらない、というわけでもないのに、職員も利用者さんも、どこか浮き足立っているような空気が続いている。

最近は、老健の経営もどこも厳しい。
このご時世、施設を成り立たせるために、より重症度の高い方を多く受け入れざるを得ない、という事情もある。

一方で、入院からそのまま有料老人ホームへ入所するケースも、かなり増えてきた。
「わざわざ、ずっとはいられない老健を挟まなくてもいい」
そんな判断をする家族が増え、老健を“経由地”として選ぶ人自体が少なくなっている印象もある。

老健に来られる方の家族も、最近は二極化している。

ひとつは、親のことにあまり関心がなく、
「退院しなきゃいけないけど、調べる時間もないから」
病院に言われるがまま、とりあえずの時間稼ぎで移動してきた、というケース。

もうひとつは、
「絶対に良くなって、家に帰ってほしい!」
という強い想いを持った、熱量の高い家族。

ただ、この後者の家族も、決して理想だけを語っているわけではない。
やってみてダメなら仕方がない、と思いながらも、
「今より少しでも良くなってほしい」
そして同時に、
「お金がないから、絶対に自宅に帰ってもらわないと困る」
そんな切実な現実を背負っている。

その狭間で、老健は今日も揺れている。


さて、そこで働く私たちスタッフはどうなのかと言いますと。
もちろん、良くしたいという気持ちは強いのです。
もう、めちゃくちゃ。

ただ、本当に超高齢化しています。
入所時点で96歳。
「自宅に帰って、今まで通り一人暮らしを続けたいです」と言われると、
心の中ではつい、
「いやぁ……誰かいる施設の方がいいんじゃない?」
なんて思ってしまう。

本人は帰る気満々でも、
一緒に暮らしている兄弟や、姪・甥が
「もう無理です〜」
と音を上げているケースも、本当によく聞く。

自分の親のことでさえ大変なのに、
最近は、姪や甥がおじさん、おばさんの面倒を見ている、という場面も珍しくなくなった。

せめて、お金だけでもあればいいのだけれど。
それすら厳しいとなると、
……正直、
「もう行政でどうにかしてあげてください」
と、切に思ってしまう。

そして、物価はどんどん上昇。
一方で、私たちの賃金は据え置き。

冬のボーナスも、去年より少なかったけれど、
「出ただけマシだよね」
なんて言い合っている、この感じ。

いやいや、これってどうなの?
と、心のどこかで引っかかっている。

若いスタッフを見ると、
老婆心ながら
「IT業界に転職した方がいいんじゃない?」
なんて思ってしまうことすらある。

やりがいは、確かにある。
いい仕事だとも思っている。
でも同時に、
ここは「やりがい搾取」な職場でもある。

施設だけじゃなく、
私たちの心も、なんだかザワザワしている。
そんな新年の始まり。


でも、誰かがやらないといけない。

子どもにも、
「自分がやられて嫌なことは、人にもしない」
そう言って育ててきたのだから。

ここで諦めてしまったら、
結局、自分の将来も詰んでしまう気がする。

今は苦しくても、
今は報われなくても、
ここで踏みとどまることが、
きっと自分の老後につながっている。

そう考えて、今年もまた、
踏みとどまろう。
少しでも、よりよくしよう。

ザワザワした気持ちを抱えたままでも、
それでも前に進む。
そんな新年です。

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