認知症って、何なんでしょうね。
実父は、アルツハイマー型認知症でした。
もともと大人しくて寡黙なタイプで、「ちょっと元気ないな」とは思っていたものの、まさかそんな病気だとは思わなかったんです。
気づいたきっかけは、まさかの場面でした。
あの日、父が選んだのは──ハイヒール
叔父のお葬式の場でのこと。
ずらっと並んだ黒い革靴の中から、自分の靴を見つけられなかったのです。
「それはまぁ、よくある話」と流せたらよかったのですが……
父が履こうとしていたのは、女性もののハイヒールでした。
いやいや、いくら酔っていたって、さすがにそれはないでしょう?と、私は思いました。
そのとき、「何かが変だ」と、初めてはっきりと気づいたのです。
診断名:アルツハイマー型認知症
その後、病院に連れていき、検査の結果、アルツハイマー型認知症と診断されました。
実父は、小さいながらも自営業で会社を営んでいました。
職人肌で、人を疑わず、経理担当者を完全に信用していました。
ところが──よくよく調べていくと、その経理と税理士がグルになって、横領していたのです。
経理の人は、おそらく父の異変にも最初に気づいていたはず。
「この人からなら、奪ってもバレない」
そう思われていたのでしょう。一番近くにいた人が、一番父を裏切っていたという事実に、家族はただ愕然としました。
兄が10kg痩せて立て直した日々
幸い、兄が同じ会社に入っており、異変に気づいたのが救いでした。
気づいたときにはすでに色々と手遅れ気味でしたが、そこから兄はまるで別人のように動き、奔走しました。
「気づいたときには10kg痩せてた」と後に笑っていましたが、家族を、父の人生を守ろうとする、その必死さが今も胸に残っています。
認知症は、“気づいた人”から始まる
認知症って、「忘れる病気」だと思われがちですが、信頼関係やお金、人間関係など、目に見えない大切なものが壊れていく病でもあります。
そして何より怖いのは、その変化を知っていて、利用する人が存在するということ。
誰かの異変に「おかしいな」と気づいたあなたは、きっと最初の“気づける人”。
そこから守れる未来もあると思います。
「あれ?」に気づいたとき、そっと見守る仕組み
実父の認知症が進行していたとき、日々のちょっとした変化に気づいてあげられていたら──そう思うことがあります。
最近では、日常生活の中でさりげなく認知機能の変化に気づける見守りツールも増えてきました。
例えば、押しボタンでチェックするタイプの見守り支援機器では、「あれ? いつもと違うかも?」という小さな変化を家族が知ることができます。
- ✔ センサー+ボタンで24時間対応
- ✔ 認知機能の変化や生活リズムを見える化
- ✔ 家族のスマホに通知が届く仕組み
私たちが気づけなかった「あの瞬間」に気づくために、こんなサポートの形もあります。
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